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外壁色と素材からみる「地域らしさ」

街を歩いていて、「この辺りの家、少し雰囲気が違うな」と感じたことはありませんか?

景観条例により住宅や店舗の外壁に使用できる色は限定され、家と街がなじむように色使いが工夫されています。

また、外壁に使用される素材を見ても、雪国は水分を吸収しない金属系素材、南国は強い日差しや塩害に強い窯業系サイディングやタイルが人気です。このように住宅を見ると、その「地域らしさ」を感じることができます。

今回は、外壁を通して見えてくる地域ならではの表情に触れていきます。

街の色合いをつくる「景観条例」

景観条例とは、美しい街並みや良好な都市景観を守るために地方自治体ごとに制定され、使用できる色やその面積などが定められています。

おなじみのカラーを持ったコンビニやチェーン店でも、周囲の景観に配慮して同じトーンのデザインが採用されています。

ちなみに京都では、独自の景観条例として建物の高さ制限やデザイン面でも決まりがあり、さらに細かな「新景観政策」が実施されています。一見厳しい制限に感じますが、景観条例によって維持された美しい街並みは日本のみならず、海外からも高く評価されています。

住宅の塗替えで使用できる色は、この景観条例に基づいて選定する必要があります。

住宅において景観に与える影響が大きいのは、外壁です。建物の外壁などの多くの面積を占める色彩を「基調色」と言い、これは建物景観イメージの基本となるものです。

例えば大阪府だと、基調色は高明度低彩度(色は明るく、鮮やかさは少ない色)にすることが望ましいとなっています。

【参考】大阪府景観色彩ガイドライン

地域ごとの色傾向

住宅デザインや色の傾向は、地域が変われば驚くほど違います。

寒冷地である札幌では、景観色に定められた70色に風土イメージを想像できるオリジナルの色名がついています。外壁素材ではログハウス調の住宅も多く、使用されている色も暖かみのある明るい色が多い印象です。これは、冬場の雪景色の中で映えるように、また長い冬を過ごす中で視覚的に明るい色を取り入れ楽しさを加えたいという気持ちも影響しています。

【参考】札幌の景観色70色カラーチャート – 札幌の景観色 SAPPORO COLOR

同じく東北などの寒冷地では、雪解け時の泥はねを考慮したグレーやシックな色合いが実用性で選ばれる場合もあります。

また、関東や関西などの都市部では、ベージュやグレーが使用され、街並みに合うナチュラルさが大切にされています。

外壁素材から見える“その街らしさ”

ここまでは“色”にフォーカスしてそれぞれの「地域らしさ」をお伝えしましたが、外壁素材からも地域差を読み解くことが可能です。

一般的な外壁材である「窯業系サイディング」は汎用性が高く、関東・関西・中部などの広い地域で採用されています。

暑さ寒さの厳しい東北や九州では、水分による塗膜剥離の起きにくさや、海沿いでは塩害を考慮して耐久性のある「金属系サイディング」が好まれます。

また、古くから受け継がれてきたその土地ならではの外壁素材もあります。

風土に根ざした「琉球漆喰」は伝統的な工法で、沖縄の青い空と海に似合う白い壁が特徴です。本来は珊瑚を焼いて生石灰に稲わらと水を混ぜて漆喰を作っていましたが、近年は材料である珊瑚が採れず、石灰岩を焼いたものを使用しています。その時代に対応した形で伝統的な外壁工法を残し、その街らしさを守り続けている地域も見られます。

まとめ:外壁色と素材からみる「地域らしさ」

住宅の外壁は、単なる色や好みで選ばれるわけではなく、地域の気候風土や歴史・景観を大切にする人の心によって生まれる“地域らしさ”がカタチづくっています。

これからの家づくりやリフォームの際には、地域の“特性”や“色”を理解した上で、素材や色彩を選ぶことが長く愛される家をつくるポイントといえます。

一人一人が「地域らしさ」を大切に想うことで、この先も快適なお家づくりを目指したいですね。

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