塗料選びはメーカー選びから

大小さまざまな企業がある中で、「このメーカーが好き」「この会社は安心できる」といった“お気に入り”を持っている方も多いのではないでしょうか。

各家電メーカーにはオーディオや白物家電といった「得意分野」があり、各メーカーの特色があります。実は塗料業界も同じことが言えます。
(一社)日本塗料工業会(以下、日塗工)によると、現在日塗工に登録のある塗料関係企業は96社あり、それぞれが独自のシステムやサービスを展開しています。
そんな中、長年使用している塗料メーカーが同じ、なんてことはありませんか?
「新しいものを使用してトラブルが起きたら困る。」
「どこも同じような製品で何を基準に選べば良いのかイマイチ分からない。」
比較や検討をせずに同じ製品を使い続けた場合、今この瞬間も優れた塗料やまだ知らないメーカーの魅力に気付いていない可能性があります。
今回は、そんな方に是非読んでほしい!3つのメーカー選びのポイントを解説します。
目次
【ポイント1】ブランド力および信頼度
塗料選びにおいて、まず気になるのは、そのメーカーが「信頼できるか」どうか。
大手メーカーには認知度があります。
中小メーカーは独自の塗料設計システムや、地域密着型のきめ細かなサポート体制、ニッチなニーズに応える製品開発など、規模にとらわれない強みを持っています。
また、創業100年を超える企業も多く、長い歴史の中で積み上げた信頼とノウハウを持ち合わせ、大手にはない“色”を確立しています。
かつて、合成樹脂塗料の第1号を開発し、業界で初めてCCM(コンピュータ・カラー・マッチング)システムを導入するなど、水谷ペイントの歴史はそのままパイオニア・スピリットの歴史でもあります。
塗料メーカーの選定は、お客様への提案力・品質管理・信頼性のすべてに関わる重要な判断材料です。
案件ごとに重視するポイントも違う中で、大切なのはそのメーカーが
「市場からどのように評価されているか」「現場の声は聞いているか」
メーカーと施工業者・販売店はパートナーです。製品力だけではなく、パートナーとしての信頼性も大事にしていきたいポイントです。
【ポイント2】製品の性能、それを支える技術力
塗料には、防カビ・防藻、遮熱など様々な性能があります。製品の性能を支えているのは、メーカーの技術力と研究開発力です。例えば、外注に頼らない自社での樹脂重合技術は確かな技術力と地道な研究の賜物といえます。この部分は、現場の仕上がりや長期的な品質に大きく影響していきます。
同じ「シリコン塗料」であっても、メーカーによって配合成分や設計思想は異なります。最近では、「ラジカル制御型塗料」や「無機系塗料」の需要が高まりつつあり、市場のニーズに合わせた新製品の開発スピードもメーカーの技術力のバロメーターといえるでしょう。
また、製品開発において、実際に使用している現場の声を大切にしているか、改良を重ねているかもチェックし、製品のランクやスペックだけではなく、実際の使い勝手や塗装しやすさなども重要な部分です。

【ポイント3】安全面と法令対応
近年、塗料の安全面や環境への配慮が重視されるようになっており、安全な塗料づくりへの取り組み姿勢は重要なポイントです。
低VOC(揮発性有機化合物)製品の開発や、環境配慮型製品の開発はメーカーの安全面への姿勢が顕著に表れる部分です。
化学物質管理に関する法令が年々厳しくなっている中で、製品や、原料の情報開示をしっかり行っているメーカーかどうかは非常に重要なポイントです。
ホームページへの製品ごとのSDS(安全データシート)の開示は自社の安全性に自信があるからこそできる行動です。

メーカー選定の重要性
大切なお家の塗替えですが、高額な買い物であるが故に、
「安心できる人に頼みたい」「実際に施工された家を見て判断したい」
というニーズが強く、ご近所で塗り替えられたお家を見て業者を紹介してもらうケースも少なくありません。
製品選びの段階から、施工後までを見据えて信頼できる“メーカー選び”こそが長期的な顧客との関係性構築につながります。
まとめ:塗料選びは、メーカー選びから
これまで“なんとなく”選んでいた塗料メーカー。
しかし、改めて見直してみると性能・信頼・技術・サポート体制・社会的責任といった多くの評価ポイントがあります。
メーカー選びの目を養うことは、塗装業者としての提案力・対応力を底上げすることに直結します。
ぜひ一度、これまでの“当たり前”を見直し、新たなメーカーや製品に目を向けてみてはいかがでしょうか?
きっと、今まで気づかなかった「メーカー選びの楽しさ」が見つかるはずです。